コラム

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2019年11月22日
コラム

『リンクをツイートしただけだから』は通らない!違法となるリンク行為について弁護士が解説

匿名掲示板は投稿数が無数にあるので,検索エンジンでヒットしない限り,周囲の方が問題の投稿自体を発見する可能性はそこまで高くはありません。しかし,Twitter等で何者かがその投稿へのリンクを貼ると,自身の周囲の人の目に触れるリスクが一気に高まります。その場合,匿名掲示板の投稿自体とは別にこのリンク行為を止めさせる方法はあるのでしょうか。弁護士が詳しく解説します。

1 「リンク」とは?-「転載」との違い

「リンク」とは,正式には「ハイパーリンク(hyperlink)」と呼ばれ,インターネット(WWW)上のあるWebサイトから別のサイトへ誘導する仕組みをいいます。

URLの文字列がべたっと記載されることもありますが,今では文字や画像をクリックすることで容易にリンク先へ移動できるよう設定されていることが主流です。
私もスマホを触りながらどんどん気になる所をタップして「リンク」を活用しています。

このように「リンク」はもはや無意識に使われている仕組みで,インターネットの利便性には欠かせません。

その「リンク」と似たような概念に「転載」があります。
「転載」とは,ある別サイトへの誘導をするのではなく,そのサイトの内容自体を改めて(別のコンテンツとして)記載することをいいます。いわゆるコピペですね。

別サイトに移るのではない点で「リンク」とは異なります(ただしリツイートのように,それらいずれに当たるかの判断が難しい場合もあります)。

今回はそのうち「リンク」に関する法的問題を解説します。

2 裁判所での判断例

(1)児童ポルノ公然陳列罪のケース

自身が管理するインターネット上のWebサイトに,他の者が既にアップロードしていた児童ポルノ画像が表示されるURLを「漢字は英単語に、カタカナはそのまま英語に、漢数字は普通の数字に直してください。」と附記して行ったリンク行為について,平成21年,大阪高裁は,以下のように判示して児童ポルノ公然陳列罪が成立すると認めました。
刑事裁判ですが,リンク行為の位置付けに関し裁判所が明示的に判断したリーディングケースです。
 

❝他人がウェブページに掲載した児童ポルノのURLを明らかにする情報を他のウェブページに掲載する行為は、当該ウェブページの閲覧者がその情報を用いれば特段複雑困難な操作を経ることなく当該児童ポルノを閲覧することができ、かつ、その行為又はそれに付随する行為が全体としてその閲覧者に対して当該児童ポルノの閲覧を積極的に誘引するものである場合には、当該児童ポルノが特定のウェブページに掲載されていることさえ知らなかった不特定多数の者に対しても、その存在を知らしめるとともに、その閲覧を容易にするものであって、新たな法益侵害の危険性という点においても、行為態様の類似性という点においても、自らウェブページに児童ポルノを掲載したのと同視することができるのであるから、児童ポルノ公然陳列に該当するというべきである。❞

(大阪高裁平成21年10月23日判決)

 

要するに,アップロード行為と類似することを理由に,リンク行為も違法だと判断されました。

※このケースは上告がされこの大阪高裁判決が確定していますが,最高裁多数意見が法令適用に関して同意見であったかは不明であるため,敢えて「大阪高裁は」としております。

(2)名誉毀損を理由とする発信者情報開示請求のケース

平成24年,東京高裁は,2ちゃんねる(現5ちゃんねる)上で行われた複数のリンク行為が,一体として違法な名誉毀損にあたると判断しました。

 

❝本件各記事が社会通念上許される限度を超える名誉毀損又は侮辱行為であるか否かを判断するためには,本件各記事のみならず本件各記事を書きこんだ経緯等も考慮する必要がある。本件各記事にはハイパーリンクが設定表示されていてリンク先の具体的で詳細な記事の内容を見ることができる仕組みになっているのであるから,本件各記事を見る者がハイパーリンクをクリックして本件記事3(引用者注:名誉毀損内容を含む記事本体)を読むに至るであろうことは容易に想像できる。そして,本件各記事を書きこんだ者は,意図的に本件記事3に移行できるようにハイパーリンクを設定表示しているのであるから,本件記事3を本件各記事に取り込んでいると認めることができる。❞

(東京高裁平成24年4月18日判決)

 

要するに,クリックができるようにURLを記載する書込みは,それを見る人にリンクさせたいと思ってURLを記載しているのだから,そのURLを含む書込みが違法な名誉毀損に当たるか否かは,リンク先の内容も含めて考えるべきということです。

なお,投稿者側からの「ウィルスもあるかもしれないしクリックするかは閲覧者次第だから,リンク先内容も含めて考えるのはおかしい」との趣旨の反論についても,以下の理由で認めませんでした。

 

❝確かに,ハイパーリンクが設定表示されている本件各記事を見る者がハイパーリンク先の記事を見る可能性があることは容易に想像できるのであり,ハイパーリンク先を訪れるか否かの選択が個々人によって異なるという理由だけで,ハイパーリンク先の記事を併せ読むことが一般的ではないということにはならない。また,本件各記事のような投稿をする者やこのような投稿記事に興味を持つ者がコンピュータウイルス等に感染することを危惧して安易にクリックすることはないなどとはいえず,むしろ,ハイパーリンク先に移行するのが通常であろうと推測される❞

(上記判決)

 

つまり,この投稿記事に興味を持つ者はウイルスなど考えず安易にクリックする可能性があるので,やはりリンク先の記事内容も含めて考えるべきということです。

そしてこの件では,リンク先の書込みが違法な名誉毀損の内容を含んでいたため,「リンク行為自体も違法な名誉毀損である」として,その書込みの投稿者の情報が開示されました。

3 リンクを貼った者へどのような法的対応が採れるのか

大阪高裁の前記判断からしますと,児童ポルノ画像やリベンジポルノ画像などへのリンクをとばす行為は,それ自体犯罪行為にあたると認められることとなります。
URLを少し改変していたとしても,その画像へ容易にたどり着けるのならば言い訳になりません。

また,冒頭に書いた「誰か自分を知る者によるリンク行為」については,東京高裁の前記判断からしますと,誹謗中傷の書込みへ誘導するような内容であれば,そのリンク行為も違法としてその行為者の情報を開示できます。

ただし,「こんな内容が書かれていますが,そんなことはありません」といったように,反論対象として参照されているにすぎないときは,違法ではないとの判断になると思われます。

そして損害賠償請求については別に考える必要があります。
リンクを貼った者へどのような損害賠償請求ができるかについて明示的に判断した裁判例はありませんが,理論的には,元の誹謗中傷の書込みを行った者とのいわゆる「共同不法行為」(広義)となりますが,慰謝料全額請求できるのか,一部しかできないのかが問題となり得ます。

4 まとめ

ある表現についての責任を追及する場合,どの範囲が「ある表現」に含まれるのか,というのが「リンク」の違法性の問題です。
リンクが貼られていたとしても,それ以外の部分のちょっとした表現の違いなどで判断は変わることもあります。

インターネット上の誹謗中傷に精通した弁護士であれば,見通しや感覚のご説明も可能ですので,ぜひ一度お早目に弁護士へご相談ください。